令和4年度埼玉新人戦(新人選手権大会)南部支部予選の決勝が2月5日に行われ、武南と市立浦和が争った。
試合は一方的な武南ペースとなった。27分、MF10松原史季(2年)の技ありミドルシュートで先制すると、前半アディショナルタイムに入った40+2分、CKの流れからDF5齋藤瑛斗(2年)が押し込み、2点目を決め、折り返した。
後半に入っても武南の攻勢が続く。4分、右サイドからクロスにMF9戸上和貴(2年)が頭で決め、3点目。終盤の33分にはFW11高橋俊祐(2年)が、34分には途中出場のFW18文元一稀(2年)が立て続けに得点。さらに後半アディショナル40+2分には、松原のパスからFW18文元が決め、試合終了。
6-0の完封勝利を収めた武南が、新人大会南部支部で優勝を飾った。
圧巻の試合だった。
シュート数を見れば武南の22本に対し市立浦和は3本といかに武南が圧倒していたかわかる。得点シーンはクロスあり、個人技あり、連係ありとバリエーション豊富。やりたい放題だった。
「選手たちは練習から一生懸命やってくれて、これまでやってきたことを理解してㇾプレーしてくれた」と武南・内野慎一郎監督。「守備のチームにはしたくない。オリジナルの攻撃的なサッカーをどう続けていくか」と言葉通りのサッカーを見せた。
その中心となったのが1ゴール1アシストのMF10松原。「エンターテインメント性のある選手」と内野監督が評するように松原は個人技を生かしたプレーで局面を変えられる、典型的なファンタジスタタイプ。
「僕の得意なプレーは相手の意表を突くプレー。味方は信じて走りこんでくれる」と松原。それでいてプレーは決してわがままでなく前後左右に動き回り、ポジションを替えながら、ボールを捌き、そして味方からボールが自然と集まってくる。
内野監督からの信頼は厚く「軽いプレーをした時には言いますが自由にやっていいと伝えている」とお墨付き。21年にU-16日本代表候補に選ばれた松原は選出以降、より自信を持ってプレーできるようになった。今後のさらなる活躍に期待できそうだ。
一方でチームとしては市立浦和に大差をつけての支部予選制覇。幸先の良いスタートに新チームはずいぶん仕上がっているなと思いきや、まったくそうではないそうだ。
新チームのテーマは誰がどのポジションを行ってもクオリティを落とさずプレーすること。そこには昨年、主力選手が揃って離脱したため、チームがまったく機能しなかった苦い経験があった。
この反省を活かし、選手やポジションを固定せず編成することで底上げを図っている。その真っ最中だ。
そして最後に触れたいのが後半17分からの出場ながら2得点を挙げたFW18文元。20分、21分、23分と3度のチャンスを外したものの、きっちり2得点を挙げた。
この文元は、コーチによれば、Bチームでかなり苦労したそうだが、地道なアピールが実り、Aチームに昇格。きょうの2ゴールにつながった。文元の2点目をアシストしたMF松原は「なんとか点を取らせたかった」と話すなど、そう思わせる何かを持っているかもしれない。
「練習ではいかに自信をつけさせ、前向きな気持ちにさせるかが大事」。このコーチの言葉にそのヒントが、武南の強さが隠されているかもしれない。
(文・写真=佐藤亮太)
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