「肌寒くなってきたし、蚊もいなくなったからフィラリアのお薬はもういいかな?」という自己判断は危険です。いぬのきもち獣医師相談室の山口みき先生が、フィラリアの服用期間について解説します。
フィラリア症と予防薬の種類
フィラリア症は犬糸状虫が引き起こす病気です。蚊を介してフィラリア幼虫が犬の体内に入ると、皮下や筋肉の中で少しずつ成長して静脈から血管に侵入し、感染から約半年後には肺動脈や心臓に寄生して成虫となり、さまざまな症状が現れます。
フィラリア症は獣医師の指導のもと正しく服用すればほぼ100%予防することができます。予防薬には月に1回予防を行う経口薬、錠剤、滴下薬や、半年や1年効果が持続する注射薬があり、獣医師と相談の上、愛犬に合ったお薬を選んであげましょう。
時期外れに投薬を行う理由は、刺された直後だと効果がないため
フィラリア予防薬は蚊が目に付くシーズンだけでなく、冬に入る11月や12月にも薬を飲ませることに疑問を持つ方も多いと思います。
フィラリア予防薬は、蚊に刺されないようにする薬でもフィラリアが体内に入らないようにする薬でもなく、蚊に刺された際に犬の体内に入り込んだフィラリアの幼虫を犬の体内で駆除し、寄生・繁殖を予防するためのお薬です。
蚊に刺された際に感染したフィラリアは、犬の体内で成長し、成虫となります。フィラリア予防薬は、蚊から感染し、犬の体内で一か月ほど成長したフィラリア幼虫に効果のあるお薬です。それ以前やそれ以後の虫体には駆虫効果が発揮できません。
例えば9月に飲む予防薬は、8月に感染した虫に対した効果を持ちます。寒くなり、蚊に刺されなくなっても予防薬を飲ませる理由は、前の月の感染を予防するための服用だからです。
また、蚊に刺されたからといって必ずしも感染するわけではありません。フィラリアは一定以上の気温がないと成長せず、感染力を持ちません。
お住まいの地域の気候により予防期間は変わりますので、それについてはかかりつけの病院へ確認しましょう。
勝手にフィラリア予防をやめないこと
こういった理由から、寒くなったから、蚊の姿が見られないからといって、予防薬をやめてしまうことは感染のリスクに繋がります。
フィラリア薬は、処方された期間は毎月しっかり飲むようにしてください。
万が一飲み忘れてしまった場合は処方してもらった病院へ問い合わせ、指示を仰ぐようにしましょう。
監修:いぬのきもち獣医師相談室 獣医師・山口みき先生
文/maki
編集/いぬのきもちWeb編集室
※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿いただいたものです
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