ストレスフルな現代社会、日常の喧騒、煩雑な人間関係・・・そんなものから一瞬でも解放されたいと思ったことはないだろうか。今回はそんなあなたへ、ひととき現実から逃れられる異空間をご紹介しよう。浅草からも程近い鳥越の下町に、密やかな隠れ家が集まっている。
海と宇宙と鉱物のアトリエカフェ「Andart」
闇夜に紛れて歩く住宅街。辺りは静寂が漂い人の姿もめったに見られない。こんなところに何があるのだろう?そろそろ疑問を持ち始めた時、その異空間は現れる。
「Andart」という小さなアトリエカフェは、暗闇に浮かび上がる水槽のように鮮やかな青い光を放っている。
Andartは、海と宇宙と鉱物の世界をモチーフにしたハンドメイドのアクセサリーを作るアトリエだ。その昔、宙と海は繋がっていると考えられていた。そんな発想にロマンを感じたオーナー夫婦が海、宇宙、鉱物をテーマにアクセサリーを作り始めたのが始まりである。そのうち、アクセサリーを目当てに訪れる客が品物をゆっくり見ながら休憩できるように、とアトリエの片隅でコーヒーを飲めるようにしたのだという。
アトリエの片隅でスイーツとドリンクを頂くことができる。落ち着いた店内には静かな音楽が細く流れ、ブルーを基調とした内装が異空間に身を置いているような感覚にさせる。
珈琲×チョコレートで究極のマリアージュ「珈琲とチョコレート蕪木」
時おり買い物カゴを下げた地元民が自転車で走って行く。長閑な鳥越の下町を歩いていると、一瞬見過ごしてしまいそうなシンプルな建物に小さな「営業中」の看板が立て掛けてある。表札には「蕪木」の文字が。そう、ここは知る人ぞ知る珈琲とチョコレートの専門店だ。
カウンターには店主の蕪木祐介氏が自ら立ち、全ての珈琲を淹れる。
蕪木氏は大手チョコレートメーカーに勤務した後珈琲専門店で働いた経歴を持つ。蕪木で味わう珈琲、チョコレートの全ては、チョコレート技師であり珈琲焙煎師である蕪木氏の手によって生み出されたものだ。珈琲とチョコレートに長年向き合ってきた蕪木氏の作品は芳醇な香りと深いコクが特徴だ。カカオの調達から製造まで一貫して氏が手がけるこだわりのチョコレートは、お好みで、もしくはドリンクとピッタリの組み合わせをチョイスしてくれるのも嬉しい。
看板の無い古道具屋「白日」
鳥越のおかず横丁から一本裏路地に入ったところに、不思議な佇まいの建物がある。こちらは何の看板も目印も出ていないため行き当たりばったりではまず出会うことのできない秘密の穴場だ。
中に入っているのは古道具屋「白日」だ。燭台や花瓶、器類などその道具の辿ってきた歴史に思いを馳せながら一つ一つを手にとってみたい。基本的に店内は写真撮影禁止だ。その空間の魅力は実際に訪れてみてからのお楽しみ。撮影だけの冷やかしはお断りというところも、この場所が秘密めいている理由かもしれない。
※最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
(文:藤井 麻未)