池袋から西武池袋線で一駅という近さながら、昔ながらの商店街と閑静な住宅街が広がる、豊島区長崎の「椎名町駅」。その駅前に建つお寺が、真言宗豊山派の金剛院佛性寺(以下、金剛院)です。
境内には、真言宗の開祖である弘法大師の、修行中のお姿の像があり、それを囲むように4本の石柱が立っています。
4本の石柱は、弘法大師が修行の場とした四国八十八ヶ所の霊場を4つに分けて表したものであり、それぞれ「阿波:発心の道場」「土佐:修行の道場」「伊予:菩提の道場」「讃岐:涅槃の道場」の意味を持っています。石柱の下にはそれぞれの霊場の砂が納められていて、「阿波」から順に時計回りに踏みながらお参りすることで、四国八十八ヶ所をお参りしたのと同じご利益があるのだとか。
前述の弘法大師修行像のかたわらに、平成27年3月、「マンガ地蔵」が建立されました。駅名にもなっている椎名町(現・豊島区南長崎)はかつて、手塚治虫氏、藤子不二雄A氏、藤子・F・不二雄氏、石ノ森章太郎氏、赤塚不二夫氏など、著名な漫画家たちが青春時代を過ごしたトキワ荘というアパートが建っていた町。「マンガ地蔵」は、そのトキワ荘があった方角を向いています。
光背はカブラペン、右手には錫杖の代わりにGペンを持ち、衣の柄はマンガのコマ。厳かな佇まいの中に、いくつものマンガのモチーフが詰め込まれている造形なんです。
大正後期からこのあたりの地域が、画家や詩人などが暮らすアトリエ村が点在する「池袋モンパルナス」と呼ばれていたことも踏まえ、マンガ制作だけでなく、クリエイティブな仕事や芸術文化の趣味全般に創造のご利益を授けてくださるお地蔵さまとして、人気を集めています。
金剛院では、通常の御朱印(写真右)の他に、マンガ地蔵の御朱印(写真左)を平成29年3月より頒布しています。
そもそもこのマンガ地蔵の御朱印は、「漫画のまち」としての地域おこしの一助になればと頒布を始めたものなのだとか。拝受の際には「トキワ荘ゆかりの地 散策マップ」を一緒にいただけますので、参拝の後はあちこち巡って街の雰囲気を楽しみましょう。
※最新情報は公式サイトをご確認ください。
(文:織笠 なゆき)